ベルゼバブ/Beelzebub

ベルゼブル、ベルゼブブ、ベルゼビュートとも。
「蝿の王」と呼ばれる魔神。七つの大罪の「暴食」を司る。
多くの悪魔を支配する地獄の君主の一人である。その地位と罪深さはサタンに次ぎ、実力ではサタンを凌ぐとさえ言われる。十六の悪魔の指揮官であるとも。「マタイによる福音書」では「悪魔達の皇帝」ともされている。「セラフィムの君主にしてルシファーに次ぐ者」とされる事もあり、堕天使であるともされる。天界の戦争の際、ルシファーの右腕として戦った。
人間に悪魔を信仰させ、聖職者の性的欲求を刺激し、争いを唆すとされる。

■起源
高名な「ソロモン72柱の魔神」の序列一番であるバアル(バール)と同一神。
そもそもはカナンで信仰されていた高位の神であり、善神である。バアルとはセム語で「主、神」を意味する。バアルは畏敬の念を込めてバアル・ゼブル、即ち「高き所の主」「天の王」と呼ばれ、生贄や貢物を捧げられた。シリアにはバアルを祀った神殿の遺跡もある。
だが他の宗教に対し否定的なキリスト教によってバアル・ゼバブ、即ち「糞山の王」、転じて「蝿の王」と呼ばれるようになり、魔神として扱われるようになった。聖書ではバアルは人身御供を求める偶像神とされ、旧約聖書「列王記下」では預言者エリヤがその信仰者を神威によって打ち滅ぼしたとされる。
また、本来バアルは治水や慈雨を司る豊穣の神であり、蝿の齎す害悪…疫病や作物に対する害から人間を守る存在であった。それが転じて蝿の王と呼ばれるとは、皮肉な事である。

■容姿
姿形は髑髏を染め抜いた四枚の羽を生やし、毒針や牙を持つ巨大な蝿の姿で描かれる事が多いが、時として叡智と威厳に溢れた誇り高き王の姿で描かれる事もある。これは現在では魔神とされるとしても、かつては偉大なる神であった事に由来すると思われる。
その他には巨大な子牛の姿等で描かれる事もある。

■歴史
これだけの古い起源を持つが故、ベルゼバブと人間の関わりの歴史は長い。
前述の通り古代ユダヤの王ソロモンに呼び出され、その上捕らえられて服従させられた。その後「自由になりたければ天国の秘密を教えろ」と迫られてそれを教えるも、ソロモンはそれを信じず、ベルゼバブの身柄を放さなかったとされる。仮にも王であるのに、不義理な行いをしたものだ。
その後もベルゼバブはキリストを冥府に閉じ込めようとして失敗する等、古代に多くの伝承を残している。
十二世紀にはイタリアの聖人である聖フランチェスコと戦ったとされる。
ジャンヌ・ダルクの側近であったジル・ド・レイの前にも姿を現し、彼はベルゼバブが豹に姿を変えるのを見たという。
十六世紀にはフランス北西部のランで二コール・オブリーという少女に取り憑き、彼女に様々な被害を与えた。悪魔払いによってベルゼバブは去り、これは「ランの奇跡」として語り継がれているが、当時の失墜していたカトリックの権威を取り戻す為の見世物だったのではないか、との意見もある。
この他にもベルゼバブは何度か悪魔憑き事件を引き起こしている。

■キリスト
前述の通りキリストを冥府に閉じ込めようとして失敗した他、直接では無いが、ベルゼバブがキリストと関わった事がある。
これは「マタイによる福音書」他複数の福音書に記載されている事柄である。

そのとき、悪霊に取りつかれて目が見えず口が利けない人が、イエスのところに連れられて来て、イエスがいやされると、ものが言え、目が見えるようになった。群集は皆驚いて、「この人はダビデ(かつてイスラエルを支配した偉大な王)の子ではないだろうか」と言った。しかし、ファリサイ派(ユダヤ教の一派。キリストに対して敵対していた)の人々はこれを聞き、「悪霊の頭ベルゼブルの力によらなければ、この者は悪霊を追い出せはしない」と言った。イエスは、彼らの考えを見抜いて言われた。「どんな国でも内輪で争えば、荒れ果ててしまい、どんな町でも家でも、内輪で争えば成り立って行かない。サタンがサタンを追い出せば、それは内輪もめだ。そんなふうでは、どうしてその国が成り立って行くだろうか。(後略)」
(「マタイによる福音書」第12章第22節〜)

奇しくもキリストが言う様に、悪魔は同族に対しては寛容であるとされる事が多い。戦争によって同族同士で殺しあっている人間より、遥かに立派だとも言える。

■自作での扱い
「十九祖」と呼ばれる魔の上位集団、その第二位“蝿の王”の称号を持つ魔神。現在は三代目。
時間を切り裂く漆黒のナイフ「BEELZEBUB」を所持している。
初代はかつて最高位の魔神だったが、あろう事か十九祖第一位“堕天使”ルシフェルに喧嘩を売り、異世界からアシキモノと呼ばれる怪異を呼び出して使役、ルシフェルを滅ぼそうと画策する。が、制御もままならないアシキモノに反逆されてルシフェルに宣戦布告する前にあっけなく死亡。その魂は初代ベルゼバブが自分の身体のスペアとして製作した娘の肉体に宿って復活、二代目ベルゼバブとなる。ちなみにアシキモノはベルゼバブの指揮下を離れ、好き勝手に暴れて人間の世界にも壊滅的な被害を与えていた。
そして二代目から盗んだ「BEELZEBUB」でアシキモノを呼び出す前の過去に戻った二代目(の身体)の妹により、アシキモノとまとめて打ち滅ぼされる。妹はこの時に“蝿の王”の称号を継承、三代目ベルゼバブに着任する。
三代目はこの後もちょくちょく世界の危機を救ったり人間社会に潜入して恋をしたりと、仮にも魔神であるという自覚が全く感じられない行動を連発する。挙句人間と結婚、出産までする破天荒ぶりを発揮。他の十九祖には呆れられているが、本人は全く意に介していない。

そもそもこのサイト名を「蝿の王協会」としている位なのだから、相当のお気に入りキャラクター。

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